特別版 2月〜5月
この7ヶ月間は俺にとって「辛抱」の時だった。復帰戦を勝利して順調な再スタートを切ったと思ったのだが、3勝目を上げたあたりから自分の騎乗が分からなくなり、体重コントロールのミスなども重なり、どんどん自分を見失っていった。
そして3月の頭には若馬から落馬し、人生で初めての骨折も経験。幸い怪我自体はそれほど重傷ではなく(医者の診断は全治6週間)、約1ヶ月でまたレースに復帰する事が出来た。しかし、せっかく俺の誕生日にわざわざ日本から来てくれた彼女に、ほとんど良い所を見せられなかったばかりか、すっかり世話になってしまった。身体が動かせないでイライラしている俺を支えてくれたことを本当に感謝している。
彼女が帰国した後、ゴールデンウィークには初めて家族が遊びに来てくれた。到着日が競馬開催日で空港まで迎えに行けず、競馬場までバスとタクシーを乗り継いでやって来てくれた。そして幸運にもその日のレースに勝つ事が出来た。それまで約4ヶ月間勝てずにいたので、本当に良いタイミングで来てくれたと思う。デビューした時からずっと家族に、レースに乗っている所を見てほしいと思っていたので、本当に嬉しい勝利だった。今までお世話になった分をチョッとは返せたかなと思う。
この2週間後には初めて自厩舎の馬で勝利を上げる。自分のボスの馬で勝っていないというプレッシャーからようやく開放される。


しかし、この時の俺にはまだ復調の兆しは見えていなかった。。